知らなかった僕の顔
ピーッという再生音のあとには、男の声が続いた。


『…香織、もう一度、どうしても会いたい。やり直したいんだ。女房とは別れるよ。夜中でもいつでもいいから、連絡待ってる。とりあえずもう一度、俺と会ってくれ』


落ち着きのあるその男の声は、それでもどこか切迫した空気を感じさせた。



僕はそのメッセージを聞いて、驚きや嫉妬からくる怒りなどとは別の感情が生まれてきたことを感じた。


もしかして…。


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