知らなかった僕の顔
「今、スコアは2対2の同点で、9回の裏ツーアウト満塁のピンチを背負ってるんだ。まさしくあの時の俺と同じ状況だよ。ヒット一本打たれたら、さよなら負け」

淡々と説明する矢島さんの横で、僕はゴクリと唾を飲んだ。


あまりルールを知らないはずの森若ちゃんも、真剣に画面を見つめている。


テレビに映し出された満員の球場からは、ホームチームへの大きな声援と共に、緊迫した空気が流れてきた。


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