知らなかった僕の顔
バイト先のケーキ屋は、若い夫婦が営んでいる。


旦那さんがケーキを作り、奥さんが接客や経理を任せられている。


僕ともう一人のバイトの女の子は、奥さんの指示に従って働いた。


バイトの僕らは、旦那さんを「店長」、奥さんを「明美さん」と呼んでいる。



今日もいつものように店にたちこめる甘い香りは、ケーキの香りではない。


おそらく頭から振りかけているであろう、明美さんの強烈な香水の匂いだ。


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