知らなかった僕の顔
「森若ちゃんの番号、聞いたのか?」
長谷川が、たいして興味もなさそうに僕に聞く。

「いや…それが…一方的に教えただけで…全然かかってこないよ」

「なんじゃそりゃあ。お前は番号交換もまともにできないのか?」

「お前もな」

「なあんか俺たち、冴えねえな」


同感です。


いつの間にか話題はサッカーに移り、オシムジャパンの戦術についてを長々と語りあった。


「宮田、わりい。充電するわ。てか、もう切るわ」

「ああ、そうだな。お前の方に電話代かけちゃって悪いな」

「お前…そういうとこだよな」

「何が?」

「お前が自然と女にもてるのは、そういうとこなんだよ」

「は?」

「じゃあな、切るぞ」

「お…おぅ。じゃあね」


僕は、熱を持った携帯を握ったまま、意味なくその温度を確かめていた。


握り締めたままの携帯から、またすぐに鳴り出した着信音に驚いて、携帯を落としそうになった。


画面の中の知らない番号…。

僕は、ゴクリと唾を飲む。

…森若ちゃん?


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