知らなかった僕の顔
森若ちゃんのことをもっともっと知りたい。

どんな些細なことも聞き逃したくないと思ったのは、けして大げさな気持ちではなかった。


「森若ちゃん、もし良かったら僕とデートしてください」
僕はストレートに言った。

心臓はバクバクしていた。

僕は森若ちゃんに対して、恋の駆け引きをする気は全くなかった。

はぐらかしたり、気を持たせたり、カマをかけたり、そんなゲームのようなことは、森若ちゃんから最も遠いもののように感じられたからだ。

僕はただ、自分の素直な気持ちが伝わればいいと思った。


森若ちゃんは、一瞬間をあけ「喜んで」と言った。


僕の少なからずの勇気に、好きな女の子が応えてくれること。

僕は今まで、こんな気持ちになったことがあっただろうか。

なぜか急に泣きたくなるような嬉しい切なさ。

僕は、今すぐにでも、森若ちゃんに会いたかった。


本当にただそれだけだった。


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表紙・目次

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