知らなかった僕の顔
二階建てのおんぼろアパートの錆びた階段を下りると、目の前に二台の軽トラックと何とも表現しがたい派手で怪しい3人組の男がいた。


トラックには、家財道具が積み上げられている。


…夜逃げ？
違うな…このアパートには、僕を除いて二人暮らしの老夫婦しか住んでいない。

男たちは僕の隣の空き部屋を目指して、静かに黙々とタンスを運び出した。


朝の5時に引っ越しですか？！


ゆっくりと歩みを進めつつその様子を横目で眺めていると、3人の中でも一番目立つ日本人離れした顔のアロハシャツの男が僕に向かってにっこりと微笑みながら会釈した。


僕がぎこちなく会釈を返すと、その男は更に大きな笑顔で僕に小さく手を振った。

よくわかんないけど恐い！

もう散歩どころの気分ではなかったが、僕は足早にアパートの前を離れた。


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