知らなかった僕の顔
僕と森若ちゃんは、ぎこちなくも、ゆっくりと親睦を深めつつあった。


森若ちゃんを笑わせたかったけど、そううまくもいかない。


彼女は、下手な愛想笑いをするような子ではなかった。



ふと周りを見渡すと、各グループごとのテーブルには、うまそうな料理が乗せられていた。


僕らも注文すると、待つ間もなく、すぐに料理は運ばれてきた。

え、なに、魔法?


店員のきびきびした動きと、殺気立った表情。


そうか…今ここは戦場なんだね…。


兵士たちは、笑顔を見せることなく、「らっしゃいまっせー」「ありがとうござっしたー」と吠えるように繰り返す。


ここでバイトをする自分を想像してみた。


うん、五秒で戦死だ。


兵士が運んできた「鳥の唐揚げ」は、軟弱な僕の舌を火傷させた。

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