知らなかった僕の顔
食事時の流行りのレストランは、やはり混んでいる。
それでもまだある空席を見つけ、僕らは向かい合わせに座った。


店内を見回すと、全てが木材で造られていて、まるで森の中のロッジにいるような気分になった。

デコボコと少し座り心地の悪い椅子は、木の切株で出来ている。


気取りのないこのレストランは、いくぶん騒がしく、声をひそめて話す必要がなさそうだ。


改めて、向かい合わせに座った森若ちゃんを見て、少しずつ緊張していく自分がわかる。


考えてみれば、歩いている時はお互いの顔を真正面から見ることはない。


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