知らなかった僕の顔
そんな僕の思いをよそに、居酒屋で出会ったあの日と同じように、くいいるようにメニューを見てる森若ちゃんを僕は可愛いいと思う。


彼女の着ている水色のサテンのワンピースには、胸元に鳩の刺繍がしてある。


細い首にぐるぐると巻き付けた、紫と青の2本のスカーフは、彼女をとても優雅に見せた。


せわしなくメニューをめくる指の小さな爪には、薄い水色のマニキュアが上手に塗られている。


彼女のファッションを誰とも似てないと感じる。


奇抜で個性的というのとも違う。


ただ彼女の身に付けているもの全ては、彼女だけのものと強く思う。


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