知らなかった僕の顔
僕らは、運ばれてきたお互いの料理を味見し合った。


僕は、一人暮らしをして気づいたことがある。

一人で食べる食事と、誰かと食べる食事は、たとえ料理そのものの味が同じでも、美味しいと感じる気持ちにはずいぶんと差が出るということを。


つまり誰かと食べる食事は一人の時より、格段に美味しいのだとわかった。

それが好きな人だと嬉しいという気持ちも加わる。


実家にいる母親が、ご飯を食べる僕の姿をいつも眺めて笑ってたのは、こんな気持ちでいたからかもしれない。



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