知らなかった僕の顔
「宮田くんは、何か夢ってある?」

「いやぁ…どうかな…」
僕は、返答に困った。

サラリーマンになることしか思いつかない自分が、小さく思えて恥ずかしかった。


「森若ちゃんの夢は?」

「笑うかもしれないよ?」

「笑わないよ」

「私の夢は、画家になってロンドンに行くこと」

「立派じゃん」

「それで、ロンドンに着いたら、まずロンドンバスに乗るの」

「ああ、いいね」


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