知らなかった僕の顔
「最近じゃ、ロンドンバスのことばっかり考えてるよ。二階建てだよ?すごくない?」
森若ちゃんが興奮気味に言う。

「確かにすごい」

「なぁんか、画家になることじゃなくて、ロンドンバスに乗ることが、私の本当の夢だったりして」

その言い方が可愛くて、僕は笑った。

「あ、宮田くん、笑ったな」


「笑わせたんでしょ」


森若ちゃんが笑いながら、僕の肩を軽く小突いた。

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