知らなかった僕の顔
「森若ちゃん、正直に言うよ。僕には、夢がないんだ」

いつも心に思っていたことだけど、好きな子の前で口にすると、それは絶望的な男の言葉に思えた。

「今は、でしょ?」

「うん、でも昔からそうかな」
僕は、うつ向いて答えた。

「大丈夫だよ。いつかきっと見つかる。だって、本当の自分は騙せないから」
森若ちゃんは、優しく言った。


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