知らなかった僕の顔
休憩室へ行くと、阿部ちゃんがロッカーの前で帰り支度をしていた。


「おつかれーっす」
内心ビクビクして僕は言った。

「…おつかれ」
阿部ちゃんは、小声で返した。


「あの、阿部ちゃん、さっきは変な冗談言っちゃってごめんね。ホント…冗談だから」

「罰金だな」
阿部ちゃんが、こちらを見ずに言った。

「あー…今お金ないよ」

「じゃ、罰ゲーム」

「いいけど…何?」

「デートしてよ」

「はっ?!な、な、なんで?」
僕は驚いて、手にしていた森若ちゃんへのお土産のケーキの箱を落としそうになった。

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