会長の看病
「さて・・・どうしようかな?」


……鮎沢って、どんなのがいいんだろ。

自慢ではないが、どんなものも作る事は出来る。

お粥ひとつにしても、和風洋風中華風なんでも作る事ができ、美味しく作れる。

鮎沢にとっては、憎たらしいだろう・・・




悩んだ末、結局、和風にした。

かつお節で出汁をとり、白飯に味噌を加えてコトコトと煮てから、溶き卵をとろりと回し入れて、出来上がり。

ほんのり味噌の香りがする。少しでも食欲を誘ってくれたらいいと思う。



そっと開けた扉に、うっすらと眠っていた鮎沢が目を覚ました。
まだ頬は赤い。
まぁ、そんな簡単に熱は下がらないとは思うけど・・・




「お粥できたよ。ついでに、薬も持ってきたよ」

「あぁ。ありがとな・・・。薬なんかいいのに・・・」




今回の風邪も、疲れだと思う。
最近忙しそうだったから、家でも夜遅くまでやっていたんだと思う。




「ねぇ、また無理していたんでしょ?本当に鮎沢は頑張り過ぎ。少しは力を抜くことも覚えなきゃ」




お粥と薬をのせたおぼんを、机の上に置きながら言った。







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