奈良の都の妖しい話
「…会いに行ったら?」

「しかし、桃泉は会ってくれないかも知れないですし…」

「白華…お前は桃泉に会いたくないのか?」

「黒矢…」

「結果はどうなるかわからないだろ。…それに、お前たちは…」

「…そうだな…じゃあ、近々。」

「ああ。…俺の分も幸せになってくれ。」

「何言ってるんだ。」

「俺はもう…一生、あの人のことしか…。」

「…一緒に行くぞ。」

「え…?」

「お前も。」

「…そうね、黒矢も行ってきなさい。」

「は…はい…。」
< 108 / 291 >

この作品をシェア

pagetop