奈良の都の妖しい話
(…唐に行ったら…二度とこの国には帰らないようにしよう。…もう、姫は雲の上のお方。それに…姫の気持ちを知ってしまったからもう会えない…!)

「黒矢。唐にはどのくらいいるつもり?」

「唐に行ったら…もう戻るつもりは…」

「ま…あの子のことはどうするの?」

「……は?」

「美羽子姫のこと。」

「なっ…!あの方は人妻ですよ!それ以前に人であるし…」

「…あの子の夫…東宮は長くないわよ…。」

「…どういうことですか…?」

「あと…三年ももたないっらしいの。」

「…だからといって何か出来るわけでは…」

「それなら一度くらい会いに行ったら?」

「……。」
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