奈良の都の妖しい話
「はい、二人はこの部屋を使ってね。今夕膳を用意するから待ってて。」

「わかった。……はあ…」

「俺が同じ部屋で残念だったな。」

「まだ何も言ってないぞ…。」

「桃泉と同じ部屋が良かった。…と考えてることくらい解る。」

「……こうなったら黒矢を桃泉と思って…」

「止めろ、気色悪い。」

二人は猫のように転げながらじゃれあった。

「おいっ、そこは痛いって!」

「さっきの仕返しだ。」

「うわ〜!勘弁してくれ!」

「はははは!」

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