奈良の都の妖しい話
桃花応咲我故郷(桃花応(まさ)に咲くべし我が故郷)

去年君隣見花香(去り年君の隣で見し花香し)

我願復桃花愛君(我願はくは復(また)桃花愛でたし)

今惟静待後春幸(今は惟(ただ)静かに待つ後の春の幸せを)





―自分の故郷でもきっと桃の花が咲いているだろう。

前、貴女の隣で見た桃の花はとても素晴らしかった。

自分が願うのはまた貴女と桃の花を見ること。

今は静かにその幸せな春を待つのみ―

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