奈良の都の妖しい話
「・・・姫、起きて下さい。着きましたよ。」

「うー・・・ん。あ、(黒矢、人間に戻ってる・・・)ここが・・・?」

「そうです。・・・ずいぶんみすぼらしいですけどね。」

「でも、風情があっていいと思うよ。」

「そうですか。」

「おい・・・。」

「!!」

「あ、白華。」

「やっぱり黒矢だ。久しぶりだな。」

「ねえ、この人(?)は誰なの・・・?」

「ああ、こいつはですね・・・。」

「俺は白華。こいつと同じ半人半妖さ。」

「白華は九尾の狐なんです。」

「九尾の狐?」

「そう、こんな風に・・・」

白華は宙返りをすると、立派な毛並をもつ狐に変化した。

「尾が九つある狐のことさ。」

「わあ・・・。」

「それより、さっきから気になってるんだが、この娘は何者だ?」

「・・・とりあえず、話は家の中で。」

「わかった。」
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