奈良の都の妖しい話
「……私達のところに…こない…?」

「……行きます。」

「今度こそ戻ってこれないかもしれないわよ。」

「…それでも…私は今度こそ黒矢と幸せになりたい。」

「………わかったわ。…早いけど、今夜迎えに来るわ。」

「ええ。」

「じゃあ。」

藍鈴が去ると、美羽子は小さな紙に何か書き付け、文机の上に畳んで置いた。

< 167 / 291 >

この作品をシェア

pagetop