奈良の都の妖しい話
「・・・実はこの人は恐れ多くもさる親王の姫君、美羽子姫だ。」

「ほう・・・何故こんなところに・・・?」

「実は・・・。」

黒矢は簡潔にこれまでの経緯を話した。

「成程な。・・・それにしても、結構元気なお姫様なんだなあんた。」

「なっ・・・いくら妖怪だからって、あんまり失礼な口聞くと怒るわよ。」

「おやおや、強気だな。ここが野郎どもの住処だってことを忘れるなよ。」

そう言って白華は美羽子に少し、顔を近づけた。

(わ・・・少し色が薄いけど綺麗な切れ長の目・・・黒矢とはまた違った美丈夫・・・って見とれている場合じゃないっ!)

「・・・俺の母上がいるだろ・・・。」

「そうだったな。しかし、半年も留守にしているからすっかり忘れていた。」

「ええ!半年も!?・・・まさか、何かあったんじゃ・・・。」

「大丈夫ですよ姫。母上は数少ない妖怪の血を少し濃く受け継いでる女なので・・・。」

「そう、なんだ・・・。」

「あー!!黒兄と白兄だあー♥久しぶりー!!」

「!!(こ、今度は何!?)」
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