奈良の都の妖しい話
「…貴女は…強いですね…。」

「私が……強い…?」

「はい。…あんなに運命に弄ばれたかのように辛い目にあってきたのに……なんどでも美しく可憐な蝶の如く羽ばたいて…」

「それは…黒矢が同じ空のしたで一緒に生きているって知っていたから…。」

「姫…」

「…でもね…こうして目の前にいると…正直それだけでは我慢できなくて…。黒矢…。」

「……はい。」

「…無事に…この子を産んだ暁には……どうか…私の全てを…」

「姫……どうか、それ以上は…!」

「黒矢…私は貴方のためだったら…命を」

「そんなこと仰らないで下さい…!」

「……!」


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