奈良の都の妖しい話
戸口には桃の花のような美少女が笑顔で立っていた。

「あれ・・・?今日は客人が来ているの?」

(・・・だれだろ、この人(?)かなり可愛いけど・・・まさか黒矢の母上・・・なわけないよね。さっき二人のことを“黒兄、白兄”って呼んでたし・・・)

「あのう・・・貴方は誰ですか?」

「わっ・・・あ、わ、私は・・・。」

「紫遙、近付きすぎ・・・。」

「あら、ごめんなさい。」

「・・・。」
                    
「姫、こいつは紫遙。白華の実の弟だ。」

「へえー、白華殿の実の・・・お、弟お!!??」

(俺が妖怪だと知った時以上の驚きぶりだな。)

「貴方、お姫様なんだー。いいなあ・・・。」

「お前は男だろ・・・。」

「そうだったー。」

「・・・(なんか変わった人(?)たちばかりだな・・・)あの、紫遙殿は何の妖怪なの?」

「私はね、虎だよ。」

「虎・・・(意外)。」

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