奈良の都の妖しい話
「まあ、取り上げるのは私だけど…そうね、黒矢は姫を支えて、紺糸は産湯と臍の緒を切るのをお願いね。」

「わかったわ。」

「はい。」

「あ…そうそう、黒矢。赤子が出てきたとき、姫に目隠しをしてくれる?」

「あ、そうね。そうしたほうが良いわ。」

「どうして…」

「妖怪の血を引く子は…本来の姿で生まれてくるからよ。…姫には衝撃的かもしれないから。」

「そうなんですか…。」

「じゃ、私姫様に挨拶してくるわ。」

少し後、美羽子の驚いた声が聞こえたのはいうまでもない。

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