奈良の都の妖しい話
「!…産まれた…?」

「はい…産まれましたよ、姫…。」

「私にも…見せて…。」

「……今は…少々お待ちください。」

「どうして…?」

「……妖怪の子は…本来の姿で産まれるんです…。」

「本来の…姿…。」

「はい…ほとんど、獣のような姿です…。」

「…それでも良い…早く…見たい…。」

美羽子は黒矢の手を退けた。

「姫…。」

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