奈良の都の妖しい話
「そういえば紫遙。お前、いつまでそんな格好しているつもりだ?」

「うーん・・・あと百年くらいかな・・・。」

「!?」

「・・・ああ、姫、実は俺たち短くても千年は生きるんですよ。」

「へ、へえ・・・。」

「それよりあと百年って・・・それじゃあ恋ができないぞ。」

「いいもん、別に・・・それに恋をしたって相手は大体人間じゃないの。」

「人間でも普通に恋はできるぞ。」

「そうだけどさ、もし赤子ができたらどちらかが死ぬし・・・そんなの嫌だ・・・。」

「え・・・?」

「実はですね姫。俺の父や白華と紫遙の母は人間で俺たちが生まれるとすぐに亡くなったんですよ・・・妖怪と人間の間に子ができた場合は代償としてその子が生まれるときにどちらかが死ぬんです。大体は人間の場合が多いですけどね。」

「そっか・・・なんか妖怪って大変そう・・・。」

「・・・まあ、でも人間よりもできることは多いので・・・。」


< 19 / 291 >

この作品をシェア

pagetop