奈良の都の妖しい話
「…黒矢。」

「何ですか?」

「ありがと。…私を愛してくれて。」

黒矢は美羽子を後ろから抱き締めた。

「…俺の方こそ…。貴女に愛してもらえる…これほど幸せなことはありません。」

「…大袈裟よ。」

「事実を言っただけです。」

「…でも、私もそうかもしれない。」

美羽子は顔を黒矢の方へ向け、唇を重ねた。

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