奈良の都の妖しい話

断たれる縁

丁度同じ頃、紺糸は自分に誂えられた部屋で掌に乗せた紫の石を見つめていた。

「今日も光らない…まさか、紫遙はもう…なんと…いうことだ…私がもっと早く此処に来ていたら…。…いや、まだ紫遙がこの世からいなくなったとは限らないが…もう一つの可能性は…。…いずれにせよ、私は紫遙を守ってやることは出来なかった。…父親だというのに…。」

「…紺糸、ちょっと。」

「姉様?…今行くわ。」

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