奈良の都の妖しい話
「…落ち着きましたか、母上。」

「…ええ。貴方をこうやって抱き締めたのって初めてだったわね。…黒矢…何があっても私の息子でいて。」

「勿論ですよ、母上。」

「…ありがとう…。」

(急に、どうしたのだろう…母上は…。まさか紫遙か…よもや白華に何かあったのだろうか…?)

黒矢と美羽子はその日の昼、紺糸が唐へ行ったことを知った。

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