奈良の都の妖しい話
数日後…

(私は…今日か明日に逝くのだろうな…二十年にも満たない私の人生…だが、私は…幸せだった…あの人のお陰で……。…ただ、欲を言えば…もう一目だけ…会いたかった…。)

その日の晩、孝春親王は淡雪が溶けるように息を引き取った。

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