奈良の都の妖しい話

意地を張れど…

さて…、丁度同じ時分。

「…なあ、何時まで俺は待てば良いんだ…桃泉…」

従兄弟が幸せに浸っているとも露知らず、白華は一人ため息をついていた。

(俺達…恋人だよな?…それなのに、抱き締めることすら数えるほどしかしてなくて…どうしてだ…?)

「…何してるの?白華。」

「桃泉…。」
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