奈良の都の妖しい話

日暮れは近き

時は移り変わり、更に数年が過ぎた。

「…母上。」

「ん?どうしたの、紫恋。」

「どうして私の背は何時まで経っても大きくならないのですか?」

「…そ…それは…。」

美羽子の娘、紫恋はこの年数えで十になるが、背丈は大きく見積もっても五歳の童のようであった。

…無論、それは彼女の父親が半妖だったからである。

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