奈良の都の妖しい話
二人が外に出ると、遠くに軍勢が見えた。

「もう…あんなところにまで…。」

美羽子はこれからの被害を考えると胸が痛んだ。

「ねえ…」

「…一々同情はしてられない…。」

「!」

「…今まで、俺達の先祖はこうした戦の度、利用されてきたからな…それじゃなくても…唐はあれ以上続かないだろう。…春はいつか終わりが来る。」

「…そう…よね…。」

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