奈良の都の妖しい話

意外・・・

翌日の早朝・・・

「う・・・あ、朝か・・・わ・・・!姫!?・・・あ、そうか一緒に寝たんだっけ・・・。」

(よく、男の前で無防備に寝れるなあ・・・危険な女だ、姫は・・・。)

黒矢は美羽子の頭をそっとなでると廊下へ出た。

「よ、黒矢。」

「あ、お早う、白華。」

「あれ、ここはお姫様の部屋にしてたんじゃ・・・もしかしてお前夜這い・・・。」

「ば、馬鹿っ!何言ってるんだ・・・!」

(本当はすべて知っているけどちょっとからかってやるか・・・。)

「ふーん、それより、お姫様の寝顔はさぞかし可愛かっただろうな。」

「え・・・そ、それはもうやはりさすが高貴な御生まれというか・・・。」

「やっぱりお前夜這いしたな・・・。」

「!・・・ちがーうっ!!姫が一緒に寝てくれって言ったんだよ!」

「・・・もう、五月蠅いわね・・・。」

「ひ、姫・・・。」

「何なのよ、朝早くから・・・。」

「おいおい、お姫様。男がいるとこにそんな恰好で来たらいけないんじゃないか・・・?」

「・・・・・。」

美羽子は黙って戸を閉めた。
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