奈良の都の妖しい話
見る間に黒矢は妖怪の姿、しかも八尺はある大きな黒狼になった。

「っ…!?」

「桃泉!」

「任せて!」

白華と同じく、上から飛び降りてきた桃泉は、美羽子を横抱きにすると、素早くその場から駆け出した。

「な…な…」

「ここまで来ればいいかしら…さて。」

桃泉は妖怪の姿―兎に、(しかも巨大な)変化した。

「乗って。」

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