奈良の都の妖しい話
「どうして…。」

「俺達の先祖は…あのようにして、戦に利用されてきたんだ…。」

「どうしたら…どうしたら元に戻るの…?」

「……重症を負わせる。」

「え…?」

「重症といっても…死ぬ一歩前になる程の重症だ。…運が良ければ助かるが…大抵は、僅かに正気を取り戻して…逝く者ばかりだ…。」

「……。」

美羽子は何も言えず、膝から崩れ落ちた。
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