奈良の都の妖しい話
(一体、何があったのかしら…)

不思議がる美羽子と神経質になっている三人を見ながら黒矢の母、藍鈴は可笑しそうにしていた。

その日の昼…

「ちょっといい?お姫様。」

「何?紫遙殿。」

「少し暇だからお話でもできないかなと…」

「別に構わないけど…。」

「それじゃきま…」

ポカッ!

「悪い、紫遙。俺姫に急用があるから。」

「…ちょっと何、黒矢…。」

「あとで姫の言うことを一つ聞きますから…。」

「…。」

「こらあ!黒兄い!」
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