奈良の都の妖しい話

少し昔の切ない話

二十年ほど前、唐のとあるところ…。

「んー、つかめない…。」

「どうしたの?」

「あら、紫遙さん。…この花が綺麗だから摘んでかえろうかと思ったんだけど、高いところにあるからとどかなくて…。」

「ちょっとまってて…よっと…。」

「あ、危ないわ…。」

「大丈夫よ…はい。」

「ありがとう…でも紫遙さんって木登り得意なのね。」

「まあね。」

「本当に女の人だったら皇帝の寵妃になれそうなくらい美人なのに…。」

「それは玉環こそ…。」

「そうかしら…。」



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