奈良の都の妖しい話
その日の夜…

「…いい加減にしてくれない…?」

「今晩は泣かないんだな。」

「…もう毎晩のように私のところに来ているじゃない…そんなことしたって私の気持ちは変わらないわよ…。」

「諦めないと言ったはずだが。」

「…ひとつ聞きたいんだけど、妖怪と人って結ばれないんでしょ?それならどうして玉環と将来を誓ったの?」

「彼女もわずかに妖怪の血をひいていたんだ。…本人は知らなかったようだが。」

「それじゃあ私は…?」

「皇族だから神々の血を少しひいてはいるが…妖怪ではない。」

「!……ちょっと、もしも…」

「わかってる。そのときは俺が死ぬから…。」

「何故…。」

「すべて俺の罪だから…。」

「そんなこと言わないで…。」

「美羽子…俺が憎くないのか…?」


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