奈良の都の妖しい話
(…何故私は紫遙殿を完璧に憎んでいないのかしら…この人は私をあんな目に遇わせたのに…。)

美羽子は隣で眠る紫遙の横顔を見つめた。

(…きれいな顔。体つきも華奢で…でも意外と固くて男らしい胸。普通の女子だったらこんな人と恋仲になりたいって思うわよね…。嗚呼、不覚にも見とれてしまったわ…。もしかしてこの顔のせいなのかしら、私がこの人を憎めないのは…。)
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