奈良の都の妖しい話

羽を無くした蝶

(今の声、白華殿!?…まさか紫遙殿…。)

「…失礼、お姫様。」

「白華殿。…どうしたの?こんな朝早く。」

「紫遙に何かされた?」

「え!?…いいえ。」

「本当?」

「…ええ。」

「……。」

白華は何も言わず部屋を出た。

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