奈良の都の妖しい話
「・・・ねえ、黒矢、私をさらって」

「無理です。」

(即答・・・。)
「どうして?」

「断るのは当たり前ですよ!もし見つかったらただでは済まされません!」

「そりゃそうだけど・・・あっ、それじゃ二人で旅に出るのはどう?」

「それも同じ結果になりますよ。」

「ふふ・・・旅に出ると言ってもね、私はこの恰好じゃなくて・・・。」

そう言うと美羽子はいきなり懐から小刀を取り出した。

「な、何を・・・。」

「こうすれば・・・。」

何と彼女は自分の髪を切ったのだ!

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