奈良の都の妖しい話

御簾ごしの手

「…私、初めて見ました。あんな大きな大仏様…完成したらどのようになるのでしょう。」

「さあ…想像がつかないな。…コホコホ…。」

「東宮様?どうか…」

「いや、大丈夫だ。…どうも私は体が丈夫ではないらしい。…私だけではなく今の帝の故父帝にあたる私の伯父は若くに崩御なされているし、私の継母も…。」

「…。」

「私は長生きできないかもな…。」

「そんなこと…!」

「…すまない、このような話をして…戻ろう。」
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