奈良の都の妖しい話
「黒矢…会いたかった…。」

「東宮妃様…」

「姫って呼んで…前みたいに…。」

「姫…あの時、貴女様を帰すのではなかったと俺はずっと思っておりました。」

「じゃああの場所にはわざと…?」

「はい…貴女様を守るためと思ったのですが…。」

「黒矢…ありがとう…。」

「姫…。」

「私を守ってくれて…。あ…!し、紫遙殿と白華殿は…?」

「紫遙は…逃げました。白華は今もあの場所に…。」

「そう…黒矢、実は私…多分だけど…紫遙殿の…」

「やはり…そうでしたか…俺があそこにお連れしたばかりに…!」

「黒矢、元は私が…!」

「…姫…妖怪の子は産み月になるまでに三年かかります…くれぐれも…」

「わかったわ。」

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