奈良の都の妖しい話
「…では、どうすればそなたは笑ってくれるのか?」

「え?」

「そなたは…妃となってから、時たま軽く微笑むだけで、笑顔を見せてくれないではないか…。」

「そ、そうでしたか?」

「ああ。私はそなたの笑顔が見たい…そなたは何が好きなのか?」

「ええと、花や動物など可愛らしいものならなんでも…。」

「それでは今度、仔犬を探してこさせよう。」

「ありがとうございます。」

「……今宵は、共に…。」
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