メモリーズ~I



「いやだよ、だって、だって。
あたしを離さないように傍にいるって、
高校もまた一緒に通うって、約束したじゃん。
守ってよ!約束・・・。

傍にいてくれるだけでいいよ。
傍にただ、ただいてくれるだけで・・・・・


また、華野って呼んでよ、俊哉。
お願い、お願いだから。

目を開けてあたしの名前 呼んでってば。

あたし、俊哉に、俊哉にまだ
チョコあげてないよ。

ほら持ってきたよ。

頑張って作ったよ。食べてほしいから
俊哉の笑顔がまた見たいから・・・だからッー。

あの時みたいに 美味しいって笑ってよ。
笑顔で・・・・お願い


卒業写真もまだじゃん。
俊哉だけまだじゃん。

 まだ俊哉とやることいっぱいあるのに

一人で行っちゃうなんて・・・。



あたしを置いていかないでよッーーー。

おいて・・・・・置いていかないでッー・・・・。」




あたしは泣き崩れた。




「ごめんなさい。ごめんなさいね。
華野ちゃんに辛い思いさせて。
本当にごめんなさい。」


俊哉のお母さんは、泣き崩れるあたしを抱きしめて言った。



「大好きなのに・・・・
心から、心から・・・・・。


いつかしたら、俊哉の温もりを
忘れてしまいそうで・・・・怖いよッー。」



涙が止まらない。
止めようとするほど、溢れだしてくる。



「おばさんが、俊哉を止めていれば
あの時、あの時、強く反対してたら・・・。

こんなことに、こんなことには
ならずにすんだのに・・・・

ごめんなさいね、華野ちゃん。本当に」


 
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