メモリーズ~I
ポツン。
ポツン ポツン ポツン。
なんか空から降ってくる・・・。
「あ、雨だ。」
ザアアアアアアアアッー。
いきなり大雨になる 帰り道。
「華野、あの店で雨宿りしよう」
「うん。」
俊哉はあたしの手をにぎって走る。
あたしの家とは逆方向の店。
「うわア。最悪だ」
水をはたいてるあたしに、
「はい。これで拭けよ、ハンカチ」
「いいよ!自分のあるから。」
「華野の俺に貸して?」
・・・・。
「変なの。」
笑いまじりで ハンカチを交換しあった。
雨がやまない。それにまた無言が続く。
「雨 やまないね。」
「そだな。 寒くない?」
「ちょっと、寒い。」
「今から俺ン家 行く?」
えぇ。 驚いた顔をするあたしに。
「いあ、このままやまないと
風ひくし、ここから
家 近いし。」
「うん。」
気付くと、勝手に口が動いていた。