メモリーズ~I

あたしを強く抱きしめて そう言った。

俊哉の声は 弱弱しく聞こえた。



俊哉。確かに俊哉は
傍にいるって言ったね。

だからあたしは
離さないでって 言い返した。


その約束。

あたしから 破っちゃった。



俊哉は あたしと
同じことを感じたいって。




でもね、好きだから
心配かけたくないよ。

大好きだから、大好きで。




「俊哉には心配はかけられないよ」


あたしは言った。


「電話にも出ないと
もっと心配だろ。」



「電話は 頭になかった
頭が真っ白で、何にも
考えられなかった。」




「そっか。

じゃあ、待つから。

俺、華野が全部話してくれるまで
華野が落ち着いたら、
話してくれる気になるまで。

俺にくらいは 頼れよな。

華野の 彼氏 なんだから/////」



あたしは俊哉の胸の中にいて
顔は見れなかったけど

照れくさそうにしてるってのは
わかった。



そして俊哉は ゆっくりあたしを離して
    見つめあう。

俊哉はあたしの唇に 自分の唇を当てた。
とっても、長いキスだった


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