蒼色のヴァンピール
「ねぇ、あの噂知ってる?ほら、都会のヴァンパイア!!」
ちょうど俺たちが座った席の反対側からそんな会話が聞こえてきて、莉華は瞳を輝かせた。
「ほら、きた!蒼、ちょっと静かにしててよね!!」
「へいへい」
逆らうのも馬鹿らしいので、とりあえず言うことを聞いておく。
俺の向かい側に座った兎南も、にこやかな表情を崩すことなく、口を閉じていた。
「あの若い女の人が殺されるっていう事件でしょ?気持ち悪いよねぇ」
「ホントに吸血鬼の仕業なのかな?何でも首筋に牙の跡があったっていう話じゃない」
「あのね、私のお姉ちゃんの知り合いが、そのヴァンパイアを見たんだって!!」
「えー!!マジで!?」
女子高生たちの雄たけびが店内に響く。